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孫子から

偶然だけど,YouTubeを徘徊していたら,オリラジの中田さんの動画「NAKATA UNIVERSITY」を発見した.

始めはコヴィーの「七つの習慣」の解説動画を見てたんだけど,とても分かり易くて面白い解説だったので,他の動画もいくつか見た.

 

その中で新たな発見があった.

それは孫子

 

 

孫子といえば,古来,戦争に勝つための戦術書として知られていた書物だと思っていたので,名前は知っていたけどこれまで大して興味を抱いたことはない.

だけど,この動画の解説を聞いてとても驚いた.

 

孫子って戦術書かと思っていたけど,むしろ人としての生き方に近い,そんな哲学書のようなものだと初めて知った.

 

その中で特に面白かったのは,最後の13篇「火攻」で述べられている.

「主は怒りを以って師を興すべからず」

である.もちろん,ここに至るまでの流れがあるからこの言葉も輝くわけだけど,最近私の中にあったモヤモヤ感がここの解説のおかげで晴々となった.

 

主は怒りを以って師を興すべからず

研究の世界でも競争があるし潰し合いもある.

学術雑誌に投稿する論文や国際会議に投稿した論文は,通常は査読というプロセスを踏む.

査読というのは,内容に関して別の研究者がチェックするというシステムだ.もちろん,執筆者は誰が査読したのか分からない.だからかもしれないが,査読者の中には偏狭で理不尽な攻撃をしてくる人もいる.

 

私が先日投稿したある日本の学会が主催する国際会議も(結果的には受理されたけど)かなり酷い言い方をされた.しかも,査読者のコメントを読んだけど,英文がかなり幼稚だったので,査読をしたのは大学教員ではなくポスドクあるいは大学院生かもしれない.

 

動詞の人称変化が間違っていたり、形容詞と副詞の使い方がめちゃくちゃなので、まるで赤ちゃん言葉で罵詈雑言を言ってるような感じ.信じられないかもしれないけど,中学生でも間違えないような文法の基礎を間違えてる.

 

おそらく指導教員から査読しろと言われて,必死に英語で書いたんだろうなぁと容易に予想がつく.

 

査読はその学会のレベルを測るバロメータだと思っている.

まともな学会の査読者なら,学生に査読を丸投げせず自分できちんとやるし,学生にやらせたとしても,チェックくらいはするだろう.もしこの査読者が学生であれば,指導教員自身がこの学会を軽んじているのが査読結果からうかがえるのだ.

 

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孫子が言ってる「主は怒りを以って師を興すべからず」とは,

「君主は,一時の怒りの感情から軍を動かしてはならない.将軍は一時の憤りに駆られて戦いをしてはならない.」

という意味で,一時の感情に振り回されることなく,利があるかどうか冷静に判断すべきという戒めだ.

 

私の場合で言うと,この査読者と言い争いをしても無駄以外の何ものでもない.むしろ,もっとレベルの高い学会に投稿しよう.レベルの高い学会だったら,仮にダメだったとしても「なぜダメなのか」客観的に指摘してくる.査読に感情は入らない

それこそが,自分にとって最大の利益を得る唯一の方法だ.

 

そのことに気付いたので,結局,その学会を静かに去ることにした.もっとレベルの高い学会(って言うか,もっとマシな学会)は世の中にゴマンとある.

まるで今の私の心境を代弁したかのような孫子の言葉だった.

 

学会のWebサイトをみると,奇しくも今年で創立60周年だとか.

若い頃,ここの学会にはそれなりにお世話になった.いろんな先生方との出会いもあった.自分が歳を取ったということは,学会で活躍する主流の研究者も若返りしているという意味でもある.

ちょうど切れ目の時期に,私にとって卒業の時期を迎えたこということになる.