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【朝読書4冊目】池井戸潤・陸王:『進むべき道を決めたら,あとは最大限の努力をして可能性を信じるしかない』

読書記録を残しておくことをすっかり忘れてました.

4月下旬から続けている朝読書.

4冊目は池井戸潤陸王を読了しました.

池井戸潤といえば,「半沢直樹」や「下町ロケット」などで有名で,ドラマも大ヒットしてます.だけど,その物語の骨格は意外と単純で,

「理想と正義に燃える主人公が,困難を乗り越え最後は敵に勝つ」

というシナリオだ.その骨格はあまり変わらない.そして,非常にハッキリと悪役を登場させるので,主人公と対決する図式が読者にもわかりやすい.

単純と言えば単純なストーリー展開なのだが,それが分かっていても惹かれてしまうのは,池井戸潤の物語の展開のうまさなんだろうね.

 

それで,今回の陸王

主人公は足袋の製造を行なっている零細企業の社長.新規事業としてランニングシューズの開発に挑むが,様々な問題に直面する.

この物語で「敵」となるのは,ランニングシューズを開発販売している世界的メーカーのアトランティス社.

だけど「陸王」が面白いのは,敵はこの会社だけでないところだ.

ハッキリと悪役として描かれているのはアトランティス社だが,「小さい敵」が現れる.それは新規事業に反対する古株の社員だったり,資金を貸し渋る銀行であったり,途中で契約を破棄してきたベンチャー企業であったり・・・

その他にも,事業の継続のために障害となる様々なトラブルが起こる.

その辺が「正義VS悪」という単純な図式では描けない,ビジネスのリアルを的確に描写している.そこがこの「陸王」の面白さにもつながっているのだろう.

 

ふと興味をもったのは,原作者の池井戸潤という人物だ.小説を読むと,資金繰り,企業買収,特許に至るまでその辺の知識が豊富だけど,小説家になる前はどんな仕事をしていたのだろうか?

と思ってWikipediaを見たら,元銀行マンだったようだ.どおりで詳しいわけだ.

自分が経験した職業というのは,小説を書く上での強みになるというけど,池井戸潤はまさにそんな感じだ.

陸王」は特に後半になるにつれて,とてもいいセリフを目にするようになった.

  • 「進むべき道を決めたら,あとは最大限の努力をして可能性を信じるしかない.でもね,実はそれが一番苦しいんですよ.保証のないものを信じるってことが.」
  • 「だけどな.全力でがんばってる奴が,すべての賭けに負けることはない.いつかは必ず勝つ.」
  • 「もし世の中から,おカネっていう価値観を取っ払ったら,後には本当に必要なものや大切なものだけが残るんでしょうね」
  • 「簡単に忘れ,簡単に利用する.興味がなくなったら,見向きもしない.だけど,その世間こそが,我々のお客さんなんだ.」
  • 「諦めたら,そこで終わる.なんだってそうだ.自分で終わりを決めるな.そんなものは単なる逃げだ.」
  • 「やけに物わかりのいい奴なんて,信用できるか?」
  • 「世の中を見てくるよ.オレなりに精一杯勉強してくる.だけど,一旦,出たからには,戻るつもりでは働かない.それじゃあ,メトロ電業に失礼だからさ」

偉人たちの名言と言ってもいいくらい素晴らしい言葉だが,この言葉だけ抜き取っても,ありきたりとしか思わないだろう.小説を読んでいく中で,主人公の気持ちになって共に苦労を疑似体験すると,この言葉がとても心に突き刺さる

陸王」は大小様々な敵と対峙しながらも,多くの人たちに支えられながら,苦難を乗り越えていく.

私はこの小説を読んでいくにつれ,時には共感し,時には自分の昔を反省し,また,これから先の生き方にも大きな示唆を与えてくれた.

単にストーリーの面白さだけでない.

フィクションといえども「自己啓発」にもなりうる小説だと思う.